少しだけの夢

海胆の水槽
肘 二の腕
私と別個の水、触れない熱
そよ風
昼間の光
丘の、坂の、途中の
シャッターの下りたコンクリート箱と
何かの箱と、短いのれんと、赤焦茶のチェストと、銀の台所と、
寒くない 暑くない
ショルダーバッグも、ウォーキングシューズも、遠くに見るだけ、
音のしないはこのなか
暑くない 寒くない 微風
海胆の水槽の前に
不思議と一人で
わたしはいつも不思議と一人で
安心して背中で見ている
腐っても、腐らせても、怖くない水と熱
肘、二の腕、髪の毛、頬骨
海胆の水槽